ミッドサマー 感想。 映画 ミッドサマー 感想 ダイスで決める人生

映画『ミッドサマー』ネタバレ感想と考察。結末でアリアスター監督が描く“残忍で破滅的なおとぎ話”とは

ミッドサマー 感想

93点 2018年、長編デビュー作である『』で世界中の映画ファンを恐怖、というよりも実に「厭な」気持ちにさせた新進気鋭の監督、。 おそらく、世界で最も続篇が待たれている彼が次に放った作品が本作です。 私は同時代に活躍している監督は可能な限り追っていこうと思っているため、前作でおよそ新人とは思えない才能を発揮した監督の最新作である本作は当然観ようと思っていました。 なのでわざわざムビチケまで買い、鑑賞した次第です。 ちなみに、今年最も楽しみにしていた作品の1つです。 監督は、自身の体験から映画を作っています。 前作『へレディタリー』は彼の家族に起きた「不幸な出来事」からインスパイアされて作ったものでした。 そして本作は、何と自身の失恋体験からインスパイアされて作ったそうです。 映画本編を観ればドン引きすること必至な気がしますが、は本作を、本当に失恋から立ち直る「セラピー映画」と捉えている節があります。 鑑賞してみると、確かにそう捉えられなくもない作品でした。 ただ、それ以外にも多様な見方ができる作品で、同時に前作を遥かにしのぐ「厭な」映画でもありました。 本作の発端はに持ち込まれた、「に観光に来たカの学生たちが悲惨な目に遭うホラーを作ってほしい」という企画からだったそう。 本作を観てみれば、なるほど確かにそういう内容に見えます。 しかし監督は、これに自身の失恋体験を入れ込みました。 これによって本作は、ただのホラーではなく、1人の女性が自分をないがしろにする男に「さようなら」する映画としても観ることができるようになりました。 しかしそれによって、より後味が悪くなったことも確かです。 まず、『へレデイタリー』と同じく、本作は「音」が素晴らしい映画だと思います。 『へレディタリー』の「コッ」に替わる「ホッ」という音の不気味さ、そして家族が死んでしまったダニーが電話してきたときのあの不気味なタイミングと泣き声の不気味さ。 タイミングと音そのもので不穏さを強調していき、これが本作全体の不穏さに直結しています。 本作はまず、冒頭からダニーの家族が皆死亡してしまうという衝撃的な展開が起こります。 ここで家族を失ってしまった彼女ですが、恋人であるクリスチャンは自分のことを若干厄介者として見ている節があり、友人はもっと露骨です。 つまり冒頭の時点で彼女は世界で1人だけなのです。 その彼女の孤独を表現するように冒頭では彼女は他の男どもとは離されて映っています。 例え1つの画面の中にいたとしても、クリスチャンと話しているときはクリスチャンは鏡越しに、ダニーはそのまま映ったり、他の男どもと旅行のことについて話すシーンでも、ダニーは額縁の中に映ったりしています。 これによって、ダニーが彼らとは違う世界にいる、孤独な存在であることが示されています。 そしてそれ故に、ダニーは「吐き気」を覚えます。 本作の大半の舞台は彼女が友人と観光に行くホルガです。 本作はホルガの人々の風習や暮らしを淡々と、しかしどこか不穏な雰囲気を漂わせながら進んでいきます。 ここで1シーン1シーンをじっくりで見せているのが上映時間が長くなっている原因。 このホルガでは観光客である学生たちが「異端」であり、ホルガの人々は「普通に」生活しているだけです。 しかし、その「普通」は我々の感覚からすれば到底理解しがたいものであるため、不気味さ、不穏さが煽られます。 本作は傷心で孤独を感じているダニーが、自身を顧みない恋人や「友達」と「さようなら」をし、ホルガに癒され、新たな家族を得る話であると言えます。 これは近年流行りの「疑似家族」モノを彷彿とさせますし、「異端者」が共同体に受け入れられる話と捉えられなくもないです。 しかしですね、本作で重要な点は、これらを裏返すと、そのまま非常に危うい内容に繋がると思います。 本作が「厭な」気分にさせられるというのは、この点です。 それはつまり、ダニーが共同体に「呑み込まれる」話だということ。 言い方を変えれば、傷心の人間が救いを求めてカルト宗教に入れ込んでしまう話で、ダニーが新たな依存先を見つける話です。 そこではダニーの感情は「共感」され、癒されるもののそれはまた新たな同化を生み出します。 そこでは全ては共感の名のもとに「同質化」され、他の感情はその「共感」の嵐の中で無と化してしまう。 そうして共同体は維持される。 そしてそれが「当然のこと」として捉えられてしまう。 言い方を変えればであり、「」における「」です。 ホルガとは、そんな個人の感情などまるで無視な共同体、そして1つの感情への「共感」の名のもとに他の感情を無視する共同体 例えば の隠喩なのかもと思いました。 つまり、客観的に見れば、ダニーはもう1つの「地獄」に辿り着いてしまったのだと思います。 ダニー以外の観光客は皆この共同体の被害者です。 マチズモ的な思想を持った男たちは皆ひどい目にあい、クリスチャンに至っては「モノ」としてしか見られていない節もあります。 そしてラストのダニーの絶望も、「共感」の名のもとに消し去られます。 この辺は行き過ぎたってことなんでしょう。 こういう露悪的な面が「厭な」気持ちになった原因かなと思います。 でもまぁ、これに関しては男が悪いんですけどね。 この点はマチズモ的思想や社会に対する、監督の意地悪が炸裂していると思います。 しかし本作は、不快な気分と同時に、何故か晴れやかな気分にさせられます。 ラストのダニーの満面の笑みがそれです。 ここで、彼女にとっては、本当にこの物語は救いだったのだと分かります。 なので、鑑賞後は晴れやかな気分と鬱々とした気分が同居するというな気持ちにさせられました。 私はあのラストシーンで満面の笑みを浮かべていました。 また、ここまで観てみると、1つ気付くことがあります。 それは、本作は監督の前作『』と全く同じ内容の作品だということ。 あちらは家族が地獄の大魔王ペイモン一家に呑み込まれる話でしたけど、こちらはダニーら観光客がホルガという共同体に呑み込まれる話です。 そして、最後に主人公が「家族」を得るという点でも同じです。 作家性といえば良いのでしょうけど、それにしても似すぎな気もします。 以上のように本作は、1人のの体験から生まれた作品としては素晴らしい映画だと思います。 しかし、倫理的に観れば超ヤバい映画なので、この作品が満席の中で観られているというという事実には一抹の不安を覚えます。 映画ファンは必見ですね。 監督前作。 ホラー度はこっちの方が高め。 コッ! こちらもホラー。 inosuken.

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ミッドサマー ディレクターズカット版 考察・感想 北欧文化と伏線を解説【ネタバレ注意】

ミッドサマー 感想

原題:MID SOMMAR 監督、脚本:アリ・アスター 「ミッドサマー」登場人物とキャスト ダニー役:フローレンス・ピュー クリスチャン役:ジャック・レイナー ジョシュ役:ウィリアム・ジャクソン・ハーパー マーク役:ウィル・ポールター 「ミッドサマー」作品概要 🌞🌸🌞🌼🌸🌞🌞🌼 写真はアリ・アスター監督です。 公開に合わせて彼の初来日を予定しています。 2016年「Lady Macneth」では高い評価を得て以降その知名度をあげている若手女優です。 クリスチャン役のジャック・レイナーは2010年テレビドラマでデビューし、2012年「リチャードの秘密」で主演に抜擢され、第10回アイルランド映画テレビ賞で主演男優賞を受容するなど一気に話題となりました。 全員が非常に若くてまだ知名度こそありませんがこの映画で覚えて損は無いメンバーになっています。 また、今年のアカデミー賞の前哨戦ともいわれるゴッサム・インティベンデンド映画賞に脚本賞と、女優賞でノミネートされました。 期待値の高さと注目度が伺えます。 — 2019年10月月24日午前9時29分PDT 大学で民俗学を研究するクリスチャンは、恋人のダニーと別れを考えていましたが、突然の不慮の事故で家族を失ってしまったダニーをみて思い直し、彼女を支えることを決意します。 友人であるペレの故郷で「90年に一度の祝祭」であるスウェーデンの夏至祭が行われることを知り、ペレと友人のマークとジョシュとともに、民俗学研究の目的で参加することを決めます。 クリスチャンについて行くことを決めたダニー。 他の参加者2人も含めて、7人で村を訪れました。 夏至祭は夜まで明るく、綺麗な花や歌が歌われてまるで楽園のような祝祭です。 ここから、映画の核心に迫るネタバレを含みます。 (ネタバレ注意!) — 2019年10月月31日午前9時40分PDT ところが、二人の老人がセレモニーの中で、崖から飛び降り、自死を試みます。 一人は亡くなり、一人は足を挫き、そこにセレモニーのリーダーが現れ、大きなセレモニー用のハンマーで生き残った老人の頭を砕き、亡き者にしてしまいます。 その村では、72歳を迎えると、人生の終わりを迎え、死ななければならないのでした。 その様子をみた、7人はその信じられない風景に、恐怖のどん底に。 そこを立ち去ろうとする7人ですが、山里離れた村で、出て行きようもありません。 そのうちの村で出会ったよそ者の参加者2人が行方不明になります。 村人は、彼らは歩いて電車の駅に向かったと言います。 次に村の神木に小便をした男が、昼食会中によびだされ、人知れず亡き者にされてしまうのでした。 一方で、クリスチャンの大学の共同研究者のジョシュは、村の聖なる書を読んではいけないと言われていたのに盗み読み、亡きものとされてしまいました。 セレモニーの中で、ダンス競技があり、その中で、優勝するダニー。 一方の彼氏のクリスチャンは、村の女性と交わる儀式に連れて行かれます。 ここからは結末までのネタバレを含みます。 (ネタバレ注意!) — 2019年 9月月24日午後12時38分PDT 薬で朦朧とした、クリスチャンは村の女性と交わり、その様子を見せられたダニーはひどく狼狽します。 村では、セレモニーごとに、よそ者の血を、村に取り入れるために、そのような交わりの儀式を行うのでした。 フェスティバルの最後には、7人の人身御供が、建物に集められるのですが、その中には、すでに亡くなった、4人のよそ者たちが、それぞれに着飾られています。 さらに村の立候補者の2人、そして最後の人身御供を、ダンスで優勝したダニーが選ぶことに。 クリスチャンが、別の女性と交わったことに狼狽していたダニーは、クリスチャンを指名してしまいます。 熊の皮の中に縫い込まれたクリスチャンが最後の犠牲者として、建物に入れられ、周りで村人が見守る中、建物に火が放たれるのでした。 そのようすを見て、微笑むダニー。 アリ・アスター監督の映画にはなんとなく中毒性のようなものがあってつい観たくなってしまう というのもうなずける予告編。 すでに公開されている、アメリカでも、映画の結末のダニーの心理描写について、いまだに議論が盛んに行われています。 また、すべての殺人事件が、ある意味、土着宗教の中の行事として淡々とそして残酷に行われる様から、それらの行為の意味や、象徴性などについても議論が絶えません。 見るものによって、解釈が違う「ミッドサマー」明るい狂気ホラーとして、楽しんでもらえると思います。 今作に興味を持った方であれば是非、ダークホラーの傑作と言われる前作の「へレディタリー」もご覧になってみてください。 🌞🔥💐🌸🌼🌺 こんにちは 🌞🔥💐🌸🌼🌺 Q. 本作の監督、アリ・アスターの前作で、たくさんの方々の18年ベストに挙がりました。 怖い映画なので気をつけてご覧ください。

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孤独を「癒す」激ヤバセラピー映画【ミッドサマー】感想 ※ネタバレあり

ミッドサマー 感想

ダニとクリスチャンの二人は4年以上付き合っているせいもあり倦怠期を迎えていた。 特にダニは精神的に不安定で一日に何度も電話をかけてきてはクリスチャンを悩ますことが多かった。 友人たちは早く別れたほうがいいと助言するが、クリスチャンはなかなかできずにいた。 そんなある日、ダニの妹が自動車の排気ガスを吸い込み自殺してしまう。 妹は両親まで巻き添えにした。 同じ頃、クリスチャンは友人たちとスウェーデンに旅行することを決めていた。 ダニにそのことを知らせなかったせいでダニは気分が悪くした。 それを見てクリスチャンは仕方なく彼女を誘うと、彼女も一緒に来るという。 スウェーデンのハルガでは90年に一度開催される特別なイベント、夏至祭が開かれようとしていた。 クリスチャンの友人、ペレはそこのコミューン出身で、彼らにぜひイベントを見学してもらいたがっていた。 コミューンに着くと、クリスチャンたちはペレの兄弟やコミューンの人々を紹介された。 着いてすぐにマジックマッシュルームを渡され、さっそくみんなはハイになった。 そこは午後9時になっても空が暗くならない白夜の地域で、大自然の中、子供や大人たちが白い衣装に身を包み、歌ったり踊ったりしながらのんびり時間を過ごしていた。 ところがコミューンに儀式に参加していくうちにクリスチャンたちは次々と異様な光景を目にするようになる。 ミッドサマーのキャスト• フローレンス・ピュー• ジャック・レイナー• ウィリアム・ジャクソン・ハーパー• ウィル・ポールター• ヴィルヘルム・ブロングレン• アーチー・マデクウィ• エローラ・トルキア• ビョルン・アンドレセン ミッドサマーの感想 読者のNomadさんのリクエストです。 ありがとうございます。 「」で世界中のホラーファンをあっと言わせた、アリ・アスター監督による、カルト集団の儀式をテーマにした明るいホラー。 「」と比べると、怖さはかなり控え目で、またエンタメ度も低いです。 明るいホラーとは、暗闇を全く使わない、という意味での明るさを指します。 白夜の真夏のスウェーデンが舞台だけに本来ホラー映画で見せ場として使われる恐怖シーンや出来事が終始明るい空の下で起こるのです。 そのため絵的にものすごく開放感があるせいか、どうしてもホラーとしての緊張感に欠けてしまい、あまり怖さはなかったです。 ストーリーはとてもシンプルで、アメリカの若者がスウェーデン人の友人に誘われるスウェーデンに旅行に行き、彼のコミューンの儀式に参加してしまったことで、あれよあれよという間に生贄にされてしまう、というものです。 要するに、まともな人間だと思っていた親しい人間が実はやばい奴らの一員だった、という内容です。 監督は違いますが、ストーリーの流れは、恋人に誘われ、彼女の実家に旅行したら、人身売買されてしまう「」の流れと似ていますね。 「」との共通点はカルト教団の儀式という点ですかね。 突っ込みどころも多く、そもそも変なコミューンだなあ、と思った時点でさっさと逃げようっていう話ですよね。 異常な儀式を見せられて、発狂してるくせになぜか一泊しちゃってるからね。 友達が一人、また一人といなくなっていくのに誰もそんなに気にしてる風でもないし、ダニなんてダンスコンペに出場したりして楽しんじゃってるし。 あの平和な雰囲気に騙されて、なかなか恐怖の実感が湧かない、という演出なんでしょうか。 別に監禁されているわけでもないし、いつでも逃げられそうな雰囲気があるせいか、登場人物たちの恐怖がこちらにほとんど伝わって来なかったです。 あるいは、登場人物たちもそれほど恐怖という恐怖を感じていなかった、とも考えられそうで、知らない間に洗脳させられ、気づいた時にはコミューンに従ってしまう様子がホラーなのでしょうか。 いずれにしても挑戦的なホラー映画ではありますね。 絶叫、密室、暗闇、殺人鬼といったベタな要素を全部排除してるんだから。 ただ、それにしても儀式のシーンが長いですね。 映画自体も2時間半もあるし、そのくせキャラクターのバックグランドにはほとんど触れず、7割ぐらい儀式のシーンに使ってるんですよ。 日本も含め世界中に奇妙な祭りは存在するので、その一つというような感覚で見れば興味深いかもしれません。 しかしあんな過激なことを狭いスウェーデンの国でやったら、すぐに噂が広まって公になるだろって思うし、あんなコミューンがボランティア精神と自給自足だけで成り立つはずないだろっていうリアリティーのなさはぬぐえないですね。 みんな英語を話せるし、教育水準もかなり高そうだし、どんなコミューンだよって。 交尾の儀式には笑いました。 クリスチャンがコミューンの女の子に気に入られて、よく分からない飲み物を飲まされ、部屋の中に行くと、そこには10人ぐらいの裸の女たちが歌を歌って出迎えてくれて、部屋の真ん中にお目当ての女の子が脚を開いて待っている、というエロ漫画のような設定になっていました。 交尾の最中、ほかの女たちは歌や喘ぎ声だけで参加し、親切にもおばあちゃんがクリスチャンのケツを押して挿入を助けてあげる、という始末です。 あんな状況で起つわけねえだろって思っては爆笑しちゃいました。 もしかすると、ラブドラッグやバイアグラ的なものを飲み物に入れられてたんですかね。 それにしたって無理だけど。 ミッドサマーのネタバレ 交尾を終えたクリスチャンは正気に取り戻し、裸のまま部屋を飛び出します。 そこで姿を消していた友人の死体を次々と見つけ、これはやばいと思ったところでコミューンのメンバーに変な薬をかけられ、意識を失ってしまいます。 そして最後はほかのコミューンの数人のメンバーと共に悪魔祓いのいけにえにされてしまい、クリスチャンはダニの目の前で焼かれてしまう、というオチになっていました。 洗脳されたダニをそれを見て、笑顔にすらなっていましたね。 どんだけ逝っちゃってんだよ、お前は。 リクエスト応答ありがとうございます 全編明るい場所でのホラー映画っていうのが新鮮で日本公開を非常に楽しみにしてる身です。 へレディタリーが家族をテーマにした映画なのに対し、今回は恋人をテーマにした映画と、監督自身がインタビューで語っていたので、すごく興味を惹かれました。 へレディタリーでは宗教的なものは物語の多くあるうちの一要素として描かれていましたが、今作では宗教自体が大々的にフィーチャーされているんですね。 ちなみにアスター監督は今作以降はホラーを撮る気は無いそうです。 こんなクセの強いのを二本続けて出したあと、真面目な映画取れるのかな? そしてどうやら現在アメリカではディレクターズカット版 171分! が限定公開されているそうです。 生き地獄ですね。

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