ホルガ村。 カルトホラー映画『ミッドサマー』感想・レビュー(一人称か三人称で楽しみ方が変わる映画)

『ミッドサマー』を酷評!ラストの真の意味テーマ考察!あらすじネタバレ独自解釈・感想

ホルガ村

というわけで今日は、ホルガ村の位置を特定したいと思います。 手法 まずは劇中で提示された情報に基づいて、以下の二つの条件を仮定します: - ストックホルムからホルガ村まで車で4時間 - ホルガ村では白夜が9日間続く 1つ目の条件は、飛行機から降りてホルガ村に向かう車の中の会話から推測できます。 2つ目の条件は、ホルガ村に到着したとき白夜になっていること、ならびに夏至祭が9日間続くことから推測できます。 この2つの条件を認めると、「ホルガ村が地球上のどこに位置するか」は数学的問題として定式化できます: 1つ目の条件は ストックホルムからの同心円として描かれ、2つ目の条件は 白夜が9日間続く緯度の線として描かれます。 よって、 これら2つの線の交わる点が、ホルガ村の位置の候補となります。 ここで説明したのはあくまでも基本的なコンセプトです。 車で4時間という距離は時速や道路の選び方によって変わります。 白夜というのもダニーたちの到着した1日だけかもしれませんし、逆に9日以上続く可能性だってあります。 現実的にはそれぞれの条件を少し緩め、線でなく太さを持たせた「帯」として考え、ふたつの帯が重なる領域をホルガ村の位置の推定区間とするべきでしょう。 2つの条件について、もう少し具体的に吟味していきます。 1つ目の条件:ストックホルムからホルガ村まで車で4時間 1つ目の条件については、今回は道の選び方については無視して、直線経路を取ると仮定します。 代わりに時速の方に幅を持たせて、複数の同心円を描き、その中間領域を推定された区間とします。 実際の地表は平面ではなく曲面なので、直線距離ではなくを計算する必要があって少し面倒ですが、Mathematicaでは地図上の同心円を描くGeoCircleという関数が最初から用意されています。 2つ目の条件:ホルガ村では白夜が9日間続く 2つ目の条件、白夜の日数と緯度を結びつけるには、ちょっとした計算が必要になります。 まず、白夜とは季節的な現象のひとつです。 地軸が傾いていなかったら、季節も白夜も存在していません。 地形や雲の影響があるため、本当の日照時間は可照時間より短くなります。 真ん中のオレンジ色の球体が太陽、その周りを回っている球体が地球です(大きさ・距離・速度は見やすさのために適当に変えています)。 この図では、地球が太陽の 上にあるとき 北半球の春、 左にあるとき 北半球の夏、 下にあるとき 北半球の秋、 右にあるとき 北半球の冬となっています。 北半球の影の面積が、夏に狭くなり、冬に広くなる、という風に変動しているのがわかるかと思います。 これが季節です。 季節性=日照時間の変動パターンは、緯度によって変わってきます。 赤道では一年中日照時間は変わりません。 一方、赤道より南、つまり南半球では北半球と季節性が逆のパターンになります。 そのため、南半球にあるオーストラリアは12月が夏になり、サンタクロースがトナカイではなくサーフィンでやってくることになっています。 日照時間の年内変動パターンを数式で表現しましょう。 地球を完全な球体だと仮定して、2つの断面を見てみます。 ひとつは北極星・地球・太陽の重心を結ぶことでできる断面で、もうひとつは、観測者のいる緯度で切った断面です(以下では北半球の夏について考えますが、他の場合でも大体同じです)。 北極星-地球-太陽平面(上の断面)で見ると、地軸を含みつつ、昼半球と夜半球をちょうど半分含んだ断面が見れます。 一年の間、地球-北極星ベクトルは変動しませんが、地球-太陽ベクトルは地球の公転によって変動します。 この円盤は長さの異なる「昼の弧」と「夜の弧」を持っており、これらの弧に対応する角度を求めれば、 その季節にその緯度にいる観測者が一日の間に経験する昼の長さと夜の長さの比がわかります。 たまたまネットで見つけたブログに、気象庁の日の出・日の入り時間から日本の3地点(北海道・東京・沖縄)における日照時間をまとめたグラフがありました(ブログ主の方は太陽光発電の効率を調べていたらしいです)。 日照時間が最も短い冬至から始まり、半年のところで日照時間が最も長い夏至(ミッドサマー)が来ます。 変動パターンの曲線はサインカーブ状になり、おおむね右図の気象庁のデータと一致しているように見えます。 縦軸を見る限り、定量的なずれもせいぜい一時間以内に収まっていそうです。 上図では日本の三地点の緯度を代入しましたが、これをもっと色々な緯度で調べてみると、次のような絵が書けます。 期待したように、赤道では日照時間の年内変動がまったく現れません(この安定した気候が熱帯雨林のような種の多様性に富んだ生態系を作ることに寄与していると言われています)。 この問題は解析的に解くことが難しいため、求根アルゴリズムによって数値的に解く必要があります。 今回はキリの良い数字を選んで、白夜が0, 10, 20, 30日となる緯度を求めました(ここで0日というのは白夜がちょうど現れ始める緯度、つまり66. 6度のことです)。 9日がおおよそ中央に来る0〜20日の範囲をホルガ村の推定区間としておきましょう。 結果と考察 さて、実際にこれらの緯度の線とストックホルムからの同心円(時速50, 60, 70km)を重ね描きした地図が以下のものになります: 全然交わりません。 そもそも白夜が起こる最南端の北緯66. ホルガ村は、アリ・アスター監督の心の中にしか存在しないのでしょうか……。 しかし色々調べてみると、あるひとつの事実を見落としていたことに気付きました。 それは、 白夜の定義には2つあるということです。 今まで計算していたのは「狭義の白夜」で、これは英語では midnight sun(真夜中の太陽)と呼ばれる現象です。 劇中の台詞で「白夜」となっている字幕も、音声ではmidnight sunと言っています。 midnight sunは、その名から察せられる通り、「一日中太陽が沈まない現象」のことを指します。 一方、「広義の白夜」は、英語では white night(白い夜)と呼ばれ、「太陽が沈むには沈むけど、それでも一日中明るい現象」のことを指します。 「太陽が沈むのに空が明るい」とは、どういうことでしょうか。 これは 光の散乱と呼ばれる現象に起因します。 太陽は地平線の下に沈んでしまっているので観測者に直射日光は届かないのですが、沈んだ太陽が地平線に対して浅い角度に存在する場合、観測者の上空の大気分子にはまだ太陽光が当たっています。 大気分子にぶつかった光はばらばらに向きを変え、中には真下にいる観測者の方向に進む光もあります。 この散乱光のために、地上にいる観測者にとっては太陽が沈んでいるのにもかかわらず空が明るく見えるわけです。 散乱自体は緯度と関係なく起こるので、地球上のどこでも日の出の直後と日の入りの直前にはこの現象が起きます。 などと呼ばれる時間帯です。 劇中でダニーが失神から目覚めた直後に「2時間ほど空が暗くなったよ」と言われていたのは、おそらく薄明のことだったのでしょう。 また、ジョシュが宿泊小屋を抜けてルビ・ラダーを盗撮しに行ったときの空も若干暗かったので、薄明だったのではないかと推測できます。 薄明は明るさによってさらに3つに分類され、中でも太陽が地平線下 6度以内の場合は 市民薄明と呼び、外で本を読むのにも支障を来さない程度の明るさらしいです。 そして「広義の白夜」は、この市民薄明以上の明るさが一日中保たれる日のことを指すようです。 ひと安心です。 しかも右側の交点は海を越えてフィンランドに行ってしまうので、自動的に候補から外れます。 よって、スウェーデンに残った、左側の グレーに塗りつぶされた領域が、「ストックホルムから車で4時間」と「白夜が9日続く」という2つの条件をおおよそ満たす場所、すなわち ホルガ村の位置する場所であると推測されます。 とはいえ、候補領域の面積は約2000平方キロメートル、およそ東京都ほどの広さがあります。 次の長期休暇にでもホルガ村を探しにスウェーデンへ旅行しようかと思っていたのですが、この広さを探索するのは流石に骨が折れます。 できたら旅行の前に、もう少し候補領域を狭めたいところです。 そのためには劇中で提示されたものの今回は使用しなかった他の情報(ルバーブやイチイが自生する山、最寄り駅まで車で往復35分かかる等)を使う必要があるでしょう。 機会があれば、これらの条件を真面目に検討してみるのも面白いかもしれません。 答え合わせ 本来は以上で記事を締めても良かったのですが、執筆のために色々情報を調べていると、当初予想していなかった事実が判明しました。 映画「ミッドサマー」の舞台である ヘルシングランド地方もホルガ村も、スウェーデンに実在する地名なのです。 アリ・アスター監督、正気なのでしょうか。 実在の地名を使ってこんな映画を作ってしまって、地元の人からクレームが来ることを恐れないのでしょうか。 ヘルシングランドなどという、てっきり架空の地方なのだとこの記事を書くまで思っていました。 日本を舞台にした映画でだのだのを見てきたので、てっきりその類の 「絶対に実在の地名とかぶらなさそうな架空の地名」だと思い込んでいました。 とにかく、ヘルシングランドもホルガ村も実在する以上、答え合わせをすることができます。 しかし、ヘルシングランドというのは現在の行政区分ではないため、Wolframのデータベースには入っておらず、直接図示することができませんでした(日本でいうところの尾張や近江のような旧国名らしいです)。 一方、ホルガ村の位置はGoogle Mapで調べてすぐにわかった()ので、この点を上と同じ地図内に表示することができます: 残念ながら、実在のホルガ村の位置は、推定した候補領域とは 被っていませんでした。 先走ってスウェーデン旅行に出掛けなくてよかったです。 徒労に終わるところでした。 とはいえ、当たらずとも遠からずと言ったところでしょうか、それほど大きく外れているわけでもないように思います。 確かに、ストックホルムからの距離は、時速50~60kmの同心円に入っています。 一方、 白夜の期間は20~30日と、9日どころか一ヶ月近く続くようです。 夏至祭の続く9日という数字は、天文学的な要請ではなく、単に9が何かしらの特別な意味を持っているから選ばれたのかもしれません(たとえば、など)。 ボルガ村の位置をぴったり当てられなかったのは残念でしたが、少なくとも今回の計算によって、ひとつの新しい発見がありました。 それは、 「ホルガ村の白夜は、太陽が沈む『広義の白夜』である」ということです。 そういえば、映画のエンドロールで流れる曲が "Sun Ain't Gonna Shine"だったのは、このことを暗示していたのかも…… おまけ その他の劇中に出てきた数字について、いくつかの考察を載せておきます。 しばしば勘違いされていますが、 劇中で「90年に一度」と言われているのは「大祝祭 great feast 」のことで、夏至祭自体は毎年開催されていると思われます。 これは去年のメイクイーンの写真が残っていることから察することができます。 ところで、この90年という数字は、太陽黒点の周期である グライスベルグ周期 Gleissberg cycle とおおよそ一致しています。 ホルガ村では人生を四季に喩えて、0~18歳が春、18~36歳が夏、36~54歳が秋、54~72歳が冬とされます。 ということは、 夏至は27歳。 これは 平均的な博士課程の入学年齢とおおよそ一致しています(日本では26歳、アメリカでは28歳)。 クリスチャンたちは文化人類学の博士課程院生です。 通常版ではカットされていましたが、ディレクターズ・カット版では 川の儀式と呼ばれるシーンがあります。 このシーンがカットされた理由は、 真っ暗な夜を撮ってしまったからではないでしょうか。 実在のホルガ村では夏至を中心に前後10日以上は白夜ですから、そこに9日続く夏至祭の日程を設定しようとすると、真っ暗な夜は見れないはず。 他にもホルガ村の夜が真っ暗なシーンがひとつだけあるのですが、あれはあくまでも夢の中です。 5 , 1. 33 , 18. 33 , 18. 33 , 18. 6 , 18. 6 , 18. 7 , 18. 7 , 18. , 18. , 18. 4 , 18. 4 , 18. 27 , 16. 07 - 5 , 18.

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『ミッドサマー』のホルガ村、“ホルガ”に隠された伝説が恐ろしすぎる

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というわけで今日は、ホルガ村の位置を特定したいと思います。 手法 まずは劇中で提示された情報に基づいて、以下の二つの条件を仮定します: - ストックホルムからホルガ村まで車で4時間 - ホルガ村では白夜が9日間続く 1つ目の条件は、飛行機から降りてホルガ村に向かう車の中の会話から推測できます。 2つ目の条件は、ホルガ村に到着したとき白夜になっていること、ならびに夏至祭が9日間続くことから推測できます。 この2つの条件を認めると、「ホルガ村が地球上のどこに位置するか」は数学的問題として定式化できます: 1つ目の条件は ストックホルムからの同心円として描かれ、2つ目の条件は 白夜が9日間続く緯度の線として描かれます。 よって、 これら2つの線の交わる点が、ホルガ村の位置の候補となります。 ここで説明したのはあくまでも基本的なコンセプトです。 車で4時間という距離は時速や道路の選び方によって変わります。 白夜というのもダニーたちの到着した1日だけかもしれませんし、逆に9日以上続く可能性だってあります。 現実的にはそれぞれの条件を少し緩め、線でなく太さを持たせた「帯」として考え、ふたつの帯が重なる領域をホルガ村の位置の推定区間とするべきでしょう。 2つの条件について、もう少し具体的に吟味していきます。 1つ目の条件:ストックホルムからホルガ村まで車で4時間 1つ目の条件については、今回は道の選び方については無視して、直線経路を取ると仮定します。 代わりに時速の方に幅を持たせて、複数の同心円を描き、その中間領域を推定された区間とします。 実際の地表は平面ではなく曲面なので、直線距離ではなくを計算する必要があって少し面倒ですが、Mathematicaでは地図上の同心円を描くGeoCircleという関数が最初から用意されています。 2つ目の条件:ホルガ村では白夜が9日間続く 2つ目の条件、白夜の日数と緯度を結びつけるには、ちょっとした計算が必要になります。 まず、白夜とは季節的な現象のひとつです。 地軸が傾いていなかったら、季節も白夜も存在していません。 地形や雲の影響があるため、本当の日照時間は可照時間より短くなります。 真ん中のオレンジ色の球体が太陽、その周りを回っている球体が地球です(大きさ・距離・速度は見やすさのために適当に変えています)。 この図では、地球が太陽の 上にあるとき 北半球の春、 左にあるとき 北半球の夏、 下にあるとき 北半球の秋、 右にあるとき 北半球の冬となっています。 北半球の影の面積が、夏に狭くなり、冬に広くなる、という風に変動しているのがわかるかと思います。 これが季節です。 季節性=日照時間の変動パターンは、緯度によって変わってきます。 赤道では一年中日照時間は変わりません。 一方、赤道より南、つまり南半球では北半球と季節性が逆のパターンになります。 そのため、南半球にあるオーストラリアは12月が夏になり、サンタクロースがトナカイではなくサーフィンでやってくることになっています。 日照時間の年内変動パターンを数式で表現しましょう。 地球を完全な球体だと仮定して、2つの断面を見てみます。 ひとつは北極星・地球・太陽の重心を結ぶことでできる断面で、もうひとつは、観測者のいる緯度で切った断面です(以下では北半球の夏について考えますが、他の場合でも大体同じです)。 北極星-地球-太陽平面(上の断面)で見ると、地軸を含みつつ、昼半球と夜半球をちょうど半分含んだ断面が見れます。 一年の間、地球-北極星ベクトルは変動しませんが、地球-太陽ベクトルは地球の公転によって変動します。 この円盤は長さの異なる「昼の弧」と「夜の弧」を持っており、これらの弧に対応する角度を求めれば、 その季節にその緯度にいる観測者が一日の間に経験する昼の長さと夜の長さの比がわかります。 たまたまネットで見つけたブログに、気象庁の日の出・日の入り時間から日本の3地点(北海道・東京・沖縄)における日照時間をまとめたグラフがありました(ブログ主の方は太陽光発電の効率を調べていたらしいです)。 日照時間が最も短い冬至から始まり、半年のところで日照時間が最も長い夏至(ミッドサマー)が来ます。 変動パターンの曲線はサインカーブ状になり、おおむね右図の気象庁のデータと一致しているように見えます。 縦軸を見る限り、定量的なずれもせいぜい一時間以内に収まっていそうです。 上図では日本の三地点の緯度を代入しましたが、これをもっと色々な緯度で調べてみると、次のような絵が書けます。 期待したように、赤道では日照時間の年内変動がまったく現れません(この安定した気候が熱帯雨林のような種の多様性に富んだ生態系を作ることに寄与していると言われています)。 この問題は解析的に解くことが難しいため、求根アルゴリズムによって数値的に解く必要があります。 今回はキリの良い数字を選んで、白夜が0, 10, 20, 30日となる緯度を求めました(ここで0日というのは白夜がちょうど現れ始める緯度、つまり66. 6度のことです)。 9日がおおよそ中央に来る0〜20日の範囲をホルガ村の推定区間としておきましょう。 結果と考察 さて、実際にこれらの緯度の線とストックホルムからの同心円(時速50, 60, 70km)を重ね描きした地図が以下のものになります: 全然交わりません。 そもそも白夜が起こる最南端の北緯66. ホルガ村は、アリ・アスター監督の心の中にしか存在しないのでしょうか……。 しかし色々調べてみると、あるひとつの事実を見落としていたことに気付きました。 それは、 白夜の定義には2つあるということです。 今まで計算していたのは「狭義の白夜」で、これは英語では midnight sun(真夜中の太陽)と呼ばれる現象です。 劇中の台詞で「白夜」となっている字幕も、音声ではmidnight sunと言っています。 midnight sunは、その名から察せられる通り、「一日中太陽が沈まない現象」のことを指します。 一方、「広義の白夜」は、英語では white night(白い夜)と呼ばれ、「太陽が沈むには沈むけど、それでも一日中明るい現象」のことを指します。 「太陽が沈むのに空が明るい」とは、どういうことでしょうか。 これは 光の散乱と呼ばれる現象に起因します。 太陽は地平線の下に沈んでしまっているので観測者に直射日光は届かないのですが、沈んだ太陽が地平線に対して浅い角度に存在する場合、観測者の上空の大気分子にはまだ太陽光が当たっています。 大気分子にぶつかった光はばらばらに向きを変え、中には真下にいる観測者の方向に進む光もあります。 この散乱光のために、地上にいる観測者にとっては太陽が沈んでいるのにもかかわらず空が明るく見えるわけです。 散乱自体は緯度と関係なく起こるので、地球上のどこでも日の出の直後と日の入りの直前にはこの現象が起きます。 などと呼ばれる時間帯です。 劇中でダニーが失神から目覚めた直後に「2時間ほど空が暗くなったよ」と言われていたのは、おそらく薄明のことだったのでしょう。 また、ジョシュが宿泊小屋を抜けてルビ・ラダーを盗撮しに行ったときの空も若干暗かったので、薄明だったのではないかと推測できます。 薄明は明るさによってさらに3つに分類され、中でも太陽が地平線下 6度以内の場合は 市民薄明と呼び、外で本を読むのにも支障を来さない程度の明るさらしいです。 そして「広義の白夜」は、この市民薄明以上の明るさが一日中保たれる日のことを指すようです。 ひと安心です。 しかも右側の交点は海を越えてフィンランドに行ってしまうので、自動的に候補から外れます。 よって、スウェーデンに残った、左側の グレーに塗りつぶされた領域が、「ストックホルムから車で4時間」と「白夜が9日続く」という2つの条件をおおよそ満たす場所、すなわち ホルガ村の位置する場所であると推測されます。 とはいえ、候補領域の面積は約2000平方キロメートル、およそ東京都ほどの広さがあります。 次の長期休暇にでもホルガ村を探しにスウェーデンへ旅行しようかと思っていたのですが、この広さを探索するのは流石に骨が折れます。 できたら旅行の前に、もう少し候補領域を狭めたいところです。 そのためには劇中で提示されたものの今回は使用しなかった他の情報(ルバーブやイチイが自生する山、最寄り駅まで車で往復35分かかる等)を使う必要があるでしょう。 機会があれば、これらの条件を真面目に検討してみるのも面白いかもしれません。 答え合わせ 本来は以上で記事を締めても良かったのですが、執筆のために色々情報を調べていると、当初予想していなかった事実が判明しました。 映画「ミッドサマー」の舞台である ヘルシングランド地方もホルガ村も、スウェーデンに実在する地名なのです。 アリ・アスター監督、正気なのでしょうか。 実在の地名を使ってこんな映画を作ってしまって、地元の人からクレームが来ることを恐れないのでしょうか。 ヘルシングランドなどという、てっきり架空の地方なのだとこの記事を書くまで思っていました。 日本を舞台にした映画でだのだのを見てきたので、てっきりその類の 「絶対に実在の地名とかぶらなさそうな架空の地名」だと思い込んでいました。 とにかく、ヘルシングランドもホルガ村も実在する以上、答え合わせをすることができます。 しかし、ヘルシングランドというのは現在の行政区分ではないため、Wolframのデータベースには入っておらず、直接図示することができませんでした(日本でいうところの尾張や近江のような旧国名らしいです)。 一方、ホルガ村の位置はGoogle Mapで調べてすぐにわかった()ので、この点を上と同じ地図内に表示することができます: 残念ながら、実在のホルガ村の位置は、推定した候補領域とは 被っていませんでした。 先走ってスウェーデン旅行に出掛けなくてよかったです。 徒労に終わるところでした。 とはいえ、当たらずとも遠からずと言ったところでしょうか、それほど大きく外れているわけでもないように思います。 確かに、ストックホルムからの距離は、時速50~60kmの同心円に入っています。 一方、 白夜の期間は20~30日と、9日どころか一ヶ月近く続くようです。 夏至祭の続く9日という数字は、天文学的な要請ではなく、単に9が何かしらの特別な意味を持っているから選ばれたのかもしれません(たとえば、など)。 ボルガ村の位置をぴったり当てられなかったのは残念でしたが、少なくとも今回の計算によって、ひとつの新しい発見がありました。 それは、 「ホルガ村の白夜は、太陽が沈む『広義の白夜』である」ということです。 そういえば、映画のエンドロールで流れる曲が "Sun Ain't Gonna Shine"だったのは、このことを暗示していたのかも…… おまけ その他の劇中に出てきた数字について、いくつかの考察を載せておきます。 しばしば勘違いされていますが、 劇中で「90年に一度」と言われているのは「大祝祭 great feast 」のことで、夏至祭自体は毎年開催されていると思われます。 これは去年のメイクイーンの写真が残っていることから察することができます。 ところで、この90年という数字は、太陽黒点の周期である グライスベルグ周期 Gleissberg cycle とおおよそ一致しています。 ホルガ村では人生を四季に喩えて、0~18歳が春、18~36歳が夏、36~54歳が秋、54~72歳が冬とされます。 ということは、 夏至は27歳。 これは 平均的な博士課程の入学年齢とおおよそ一致しています(日本では26歳、アメリカでは28歳)。 クリスチャンたちは文化人類学の博士課程院生です。 通常版ではカットされていましたが、ディレクターズ・カット版では 川の儀式と呼ばれるシーンがあります。 このシーンがカットされた理由は、 真っ暗な夜を撮ってしまったからではないでしょうか。 実在のホルガ村では夏至を中心に前後10日以上は白夜ですから、そこに9日続く夏至祭の日程を設定しようとすると、真っ暗な夜は見れないはず。 他にもホルガ村の夜が真っ暗なシーンがひとつだけあるのですが、あれはあくまでも夢の中です。 5 , 1. 33 , 18. 33 , 18. 33 , 18. 6 , 18. 6 , 18. 7 , 18. 7 , 18. , 18. , 18. 4 , 18. 4 , 18. 27 , 16. 07 - 5 , 18.

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ホルガ村に行く

ホルガ村

監督は、主演は。 原題は、で(ミィドソンマル)を意味する。 アメリカの大学生グループが、留学生の故郷のスウェーデンの夏至祭へと招かれるが、のどかで魅力的に見えた村はキリスト教ではない古代北欧のを信仰するカルト的な共同体であることを知る。 この村の夏至祭は普通の祝祭ではなくを求める儀式であり、の明るさの中で、一行は村人たちによって追い詰められてゆく。 ストーリー [ ] 大学生のダニーはを抱えていた。 ある冬の日、同じくだった妹が失踪し、両親を道連れにでしてしまう。 自身の疾患と家族を失ったに苦しみ続け、恐怖の底に追い詰められているダニーを、恋人のクリスチャンは内心重荷に感じながら別れを切り出せずにいた。 翌年の夏、ダニーはクリスチャンと一緒にパーティに参加した。 席上、彼女はクリスチャンが友人のマーク、ジョシュと一緒に、同じく友人であるスウェーデンからの留学生ペレの故郷であるホルガ村を訪れる予定であることを知った。 クリスチャンはペレから「自分の一族の故郷で、今年夏至祭が開催される。 夏至祭は90年に1度しか開催されないので、見に来てはどうか」と誘われたのである。 大学でを専攻するクリスチャンは、学問的関心もあってホルガ行きを決めたのであった。 スウェーデン行きをダニーに隠していたクリスチャンは、仕方なくダニーも誘う。 ダニーらはスウェーデンへ渡り、ペレの案内でに位置するであるホルガを訪れた。 一行は、森に囲まれた草原という幻想的な風景と、白い服を着た親切な村人たちに初めは魅了される。 一行は同じくよそ者で、ペレの兄弟分のイングマールに誘われてロンドンからホルガにやってきたサイモンとコニーのカップルと合流し、イングマールからを勧められる。 キノコによる幻覚の中で、ダニーは妹の幻を見る。 村には夜が訪れるが、のためいつまでも昼のような明るさのままである。 翌日から始まる夏至祭はただの祝祭ではなく、の祭りであった。 そうとは知らずに参加したダニーは、不安と恐怖に苛まれていく。 草原のテーブルでの全員そろっての食事など夏至祭の儀式が粛々と進むが、 ()の儀式が始まると、よそ者一行の中に緊張が高まる。 コミューンの中の年長者二人が高い崖の上に姿を現し、おもむろに身を投げるという棄老の儀式が行われた。 身を投げた者のうち女性のほうは即死するが、男性のほうがまだ生きており、村人たちは男のうめき声をまねながら身をよじって叫び、槌で頭を叩き潰してとどめを刺す。 村の長老であるシヴは、ショックを受けたダニーをはじめとするよそ者たちに、これはホルガの死生観を表現した完全に普通の文化であり、村人は全員72歳になると同じようなことをしなければならないのだと説明する。 ダニーたちはペレの懇願と、夏至祭の研究で文化人類学の論文を書かなければならないというジョシュの必要性からホルガに残ることにする。 一方、サイモンとコニーは途中でホルガを出ることに決める。 荷物を集めるコニーに、村人はサイモンが列車に乗るために先に村を出てしまったという。 混乱したコニーは一人で村を出ていくが、その後、遠くで女性の叫び声が響く。 クリスチャンもホルガ村のことを論文のテーマにすることを決めるが、テーマを盗むつもりかと疑うジョシュとの関係が険悪になる。 ジョシュは、で書き継がれてきた村人の指針となる聖なる書である「ルビ・ラダー」(Rubi Radr)についてもっと教えてほしいと村の長老に懇願するが、絶対に読んではいけないと断られる。 いまルビ・ラダーを書いているのは、によって障害を持って生まれ、村のいわば神官となった人物で、村のあちこちに絵も描いているという。 一方軽率なマークが、村の神聖な木にそうとは知らずに立小便をしてしまい、村人の間に怒りが沸き起こる。 夕食時、マークは村の魅力的な女性に誘われてどこかへ消える。 クリスチャンの食事の中には女性の陰毛が混ぜられていた。 誰かが彼とのセックスを願って、この村の伝承通り自分の陰毛をまぜるおまじないをしたのだろう。 その夜、ジョシュは神聖な建物に忍び込んでルビ・ラダーを盗撮するが、突然現れた半裸の男に邪魔をされる。 その男はマークからはぎ取られた顔の皮をかぶり、下半身の皮をはいていた。 ジョシュは槌で頭を殴られ、その体はどこかに引きずり出されてゆく。 翌日、ダニーはさらにたくさんのドラッグを村人から勧められる。 彼女は村の女性総出のメイポール・ダンスの大会に参加させられ、全員で手をつないでの周りを何周も何周もする。 最後まで立っていられたダニーが優勝し、として花の冠をかぶせられ、村を行進する。 一方クリスチャンも大量のドラッグを摂取させられ、村の建物内で性的な儀式に参加させられる。 彼は服を脱がされ、全裸の女性たちに取り巻かれながら、彼の子種を孕むことを望む村の少女に強姦される。 女性たちの囃子声を聞いて建物に近寄ったダニーはクリスチャンがセックスをさせられているところを見てパニック障害を起こし、ついてきた女性たちもダニーをまねて一緒に泣き叫ぶ。 儀式後、意識もうろうとしたクリスチャンは全裸で飛び出して村をさまよう。 やがて、地面に埋められたジョシュの脚と、生きながら解剖され、背中から取り出されたを翼のように広げさせられ天井から吊るされるという「」のような処刑をされたサイモンの姿を発見するが、再び気を失わせられる。 メイクイーンとなったダニーは集まった村人たちから、コミューンから悪を追い払うために9人のいけにえが必要なのだと説明される。 ペレとイングマールに誘われたよそ者のジョシュ、マーク、コニー、サイモンの4人。 最初に身を投げた老人2人と、自らいけにえに志願してこれから死ぬイングマールとウルフの2人。 ダニーはあと1人のいけにえを、よそ者のクリスチャンにするか、それとも抽選で選ばれた村人のトービヨンにするか、選択を迫られる。 彼女は恋人のクリスチャンを選択する。 意識を半ば取り戻したクリスチャンは、自分が腹を裂かれた熊の体に全身をくるまれ、イングマールとウルフとともに神殿の中にいることを知る。 やがて神殿に火が放たれる。 体に火が付いたウルフの絶叫を、外にいる村人たちもまねて叫ぶ。 最初は苦悩と恐怖で泣いていたダニーだったが、神殿が焼け落ちてゆくにしたがい、微笑み始める。 ラストシーンの意味 [ ] 本作のラストシーンについては様々な解釈がなされているが、アスター監督は「ダニーは狂気に堕ちた者だけが味わえる喜びに屈した。 ダニーは自己を完全に失い、ついに自由を得た。 それは恐ろしいことでもあり、美しいことでもある」と脚本に書き付けている。 キャスト [ ] 登場人物のうち、ホルガの住人たちは主に俳優が演じており、そのうちの何人かにはを話す場面がある。 また、ダニーの家族など脇役数名はが演じている。 ダニー・アーダー 演 - 、日本語吹替 - アメリカの大学で心理学を学ぶ女子学生。 を抱えており、自分自身の不安や焦燥感を共有してくれる友人が少ないことに苦悩する。 クリスチャン・ヒューズ 演 - 、日本語吹替 - ダニーと同じ大学に通う大学生。 を控えていて、作成の題材を模索中。 ダニーを愛してはいるが、彼女の苦悩を受け止め切れず、その関係は微妙なものになりつつある。 ジョシュ 演 - ()、日本語吹替 - ダニーと同じ大学に通うクリスチャンの友人。 今回のスウェーデン旅行のほか、文化人類学でドイツや英国を巡る予定。 マーク 演 - 、日本語吹替 - ダニーと同じ大学に通うクリスチャンの友人。 学問的な事よりセックスとドラッグの事しか頭になく、仲間の中でも特に軽薄な行動が多い。 ペレ 演 - ()、日本語吹替 - ダニーたちの大学に留学しているホルガ出身の青年。 仲間たちをホルガの夏至祭に誘う。 サイモン 演 - 、日本語吹替 - イギリスの農園で知り合ったイングマールの招待をうけホルガへ来た青年。 コニーと婚約している。 コニー 演 - 、日本語吹替 - サイモンの婚約者。 イギリスの農園で知り合ったイングマールの招待をうけホルガへ来た。 ダン 演 - ホルガの村人の老齢男性。 夏至祭の初日にアッテストゥパンの儀式に登場する。 製作 [ ] スウェーデンの夏至祭のメイポール 5月8日、A24がアリ・アスター監督の新作映画の製作を開始しており、全米配給をも手掛ける予定だと報じられた。 製作サイドから「スウェーデンを舞台にしたホラー映画の監督を務めて欲しい」とのオファーを受け取ったとき、アスターは「ストーリーを思いつけそうにない」という理由で断ろうとした。 しかし、何とかアイデアを閃くに至ったため、そのオファーを受けることにしたのだという。 7月30日、フローレンス・ピュー、ジャック・レイナー、ウィル・ポールター、ウィリアム・ジャクソン・ハーパー、ヴィルヘルム・ブロングレンらがキャスト入りした。 なお、本作のはので行われた。 公開・マーケティング [ ] 2019年3月5日、本作のティーザー・トレイラーが公開された。 5月14日、本作のオフィシャル・トレイラーが公開された。 6月18日、本作はのでプレミア上映された。 当初、本作はからNC-17指定(17歳以下は鑑賞禁止)を受けたが、6週間にも及ぶ再編集の末に、R指定(17歳未満の観賞は保護者の同伴が必要)へと引き下げられることになった。 なお、アスター監督は現行版より30分以上長いエクステンデッド版を世に出すつもりだと述べている(元々、本作のファースト・カットは3時間45分にも及ぶ長大なものであった)。 2019年8月17日、本作のディレクターズ・カット版(上映時間171分)が初めて上映された。 日本では2020年2月21日から指定で上映された のち、ディレクターズ・カット版が同年3月13日から指定で上映された。 興行収入 [ ] 本作は『』と同じ週に封切られ、公開初週末に700万ドル前後を稼ぎ出すと予想されていたが 、その予想は的中した。 2019年7月3日、本作は全米2707館で公開され、公開初週末に656万ドルを稼ぎ出し、週末興行収入ランキング初登場6位となった。 評価 [ ] 本作は批評家から絶賛されている。 93点となっている。 サイト側による批評家の見解の要約は「野心的で、見事に作り込まれており、観客の心を大いに揺さぶってくる。 『ミッドサマー』によって、アリ・アスター監督はホラー映画の巨匠と見なされるべき人物であるとまたしても証明された。 」となっている。 関連項目 [ ]• :2013年に公開されたの惨劇を基にしたプロットのスリラー映画• :1973年に公開されたイギリス映画で、民間伝承を題材にしたフォーク・ホラー映画。 異教が信仰される村の五月祭によそから招かれた主人公が巻き込まれてゆくというストーリーであり、劇中の要素やプロットが共通する。 アリ・アスターも好きな映画に挙げているが、『ミッドサマー』の脚本執筆中は観返さなかったという。 出典 [ ]• Twitter 2019年5月9日. 2019年6月29日閲覧。 2019年6月29日. 2019年6月29日閲覧。 Tom Brueggemann 2019年7月7日. 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