いだてん レビュー。 てん【みんなの声・レビュー】

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いだてん レビュー

中村勘九郎と橋本愛が「2019年大河ドラマ『いだてん』トークツアーin青森県八戸市」に参加した。 同イベントは、NHK大河ドラマ『いだてん~東京オリムピック噺~』(NHK総合ほか)の初回放送を4K映像で楽しむパブリックビューイング。 中村は「スポーツ、そしてオリンピックを題材にした大河ドラマですので、日本人女性で初めてオリンピックでメダルをとった人見さんには手を合わせたいなという気持ちがあったので、今回来られたことをうれしく思います。 八戸で初回を迎えられるということにすごくご縁を感じて、力になりました」と。 「(墓参りの際)人見さんに『いだてん』の作品の説明、金栗四三さんを演じる勘九郎ですという自己紹介とこのドラマを通じて人見さんが人生を捧げたスポーツについて知っていただき、スポーツを始めてみようと思っていただけるような作品にしたいので、どうか見守っていてくださいという話をしました」と語った。 『いだてん』は1912年のストックホルムオリンピックから1964年の東京オリンピックまでの半世紀を描き、2020年の東京オリンピックへと盛り上げていく。 中村は「撮影は9か月目になりますが順調です。 これが2020年の東京にバトン・たすきがつながるような作品になればいいなと思っています。 形だけではなく日本人の心、スポーツを愛する心が2020年につながっていくといいですね」と期待を寄せた。 パブリックビューイングでは、本作で浅草の遊女・小梅を演じる橋本が中村の印象について「宮藤さんの書く金栗四三さんそのままという印象があって。 ピュアで、暖かみがあって、こう言ったら失礼かもしれませんが、可愛いです」と。 一方、中村は橋本について「パワフルというか、すごいオーラです。 見た目の可愛さと中身の力強さのギャップがいいですね。 まだまだ小梅ちゃんには秘密がありますので、それは放送を見てください」と。 毎回ワクワクさせてくれる作品なので、ワクワクしながら見てほしいと思います」と中村。 橋本は「このドラマはかっこいい人たちが全員可愛く見える不思議な魅力があって全員チャーミングなんです。 一人で『可愛い!可愛い!』と叫びながら見ているくらいなので、皆さんもそのかわいさを感じ取っていただきたいです」と語った。

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いだてん レビュー

大河ドラマ「いだてん〜東京オリムピック噺〜」先週9月22日放送の第36話では、「前畑がんばれ」と題して、1936年のベルリンオリンピックの女子200メートル平泳ぎに出場した前畑秀子(上白石萌歌)の奮闘が描かれた。 今回のサブタイトルに掲げられた「前畑がんばれ」は、アナウンサーの河西三省が同競技決勝の実況中継で連呼したフレーズで、前畑の活躍とあわせていまなお語り草となっている。 前畑に「がんばれ」と言わないで 前畑は4年前のロサンゼルスオリンピックで、トップとわずか10分の1秒差で銀メダルに終わった。 帰国後の歓迎会では、当時の東京市長・永田秀次郎(イッセー尾形)から、そのことをしきりに惜しまれ、次のオリンピックでは金メダルを獲ってきてほしいと懇願される。 永田だけではなく、国民からも大きな期待をかけられ、前畑のプレッシャーはベルリンオリンピックが近づくにしたがい強まるばかりだった。 今回の「いだてん」は、そんな前畑に対するプレッシャーと、「前畑がんばれ」という名フレーズを結びつけて、一つの物語として描いていた。 日本水泳陣の総監督の田畑政治(阿部サダヲ)は、ベルリンオリンピックが始まって夜のプールでたまたま前畑と遭遇する。 彼女は、プレッシャーで夜も眠れず、一人、プールで練習していたのだ。 そこで思わず「前畑がんばれ」と口走った田畑に向かって、前畑は「『がんばれ』なんて言わんといてください」「がんばって金メダルとれるんやったら、ロサンゼルスでとっとるわ」と反発する。 以来、田畑は前畑にプレッシャーを与えまいと、「がんばれ」を禁句とした。 だが、前畑が予選を世界記録を出して通過すると、新聞には金メダル確実と報じられ、それが彼女にはさらなるプレッシャーとしてのしかかった。 かと思えば、準決勝でタイムを落としたら落としたで、不安が募る。 プレッシャーに押しつぶされそうになりながら、翌日に決勝を控えた晩、やはり眠れない前畑の前に、亡き両親(康すおん・中島唱子))の幻影が現れた。 両親を相手に、「『がんばれ』って言われて、がんばって金メダル獲って、何や言いなりやん。 私の4年間、誰かの言いなり? 『がんばれ』って言葉、おもろない。 がんばってがんばって、私の人生、それでおしまい?」と、ここぞとばかりに愚痴る前畑。 そんな彼女に、母親はふと「秀子が生まれたことが母ちゃんの人生で一番よかったこと。 秀子は母ちゃんの金メダルや」と口にする。 これにグッと来た前畑はあらためて、きょうだいで自分だけ女学校に行かせてもらい、好きな水泳を続けさせてくれたことに感謝する。 そんな彼女に、両親は「秀子だけじゃないで。 明日はみんなで泳ぐんや」「日本人みんなや」と言い、「がんばれ」と激励するのだった。 明けて決勝当日。 前畑は控室で日本から届いた大量の激励の電報を読むうち、丸めて口に入れようとする。 それを田畑が目撃してあわてて止めるが、彼女は次々と電報を丸めて口に含み、水と一緒に飲みこんでしまう。 それでも「これでうちは一人やない。 日本人みんなで泳ぐんや」と気持ちが吹っ切れた様子。 ロサンゼルスでレース前にお守りを飲みこんだ再現だ(以前にも書いたとおり、史実では前畑がお守りを飲みこんだのはベルリンの決勝前のことである)。 隣りの控室では、前畑最大のライバル、ドイツのマルタ・ゲネンゲル(マルテ・オームントゥ)がヒトラーの激励を受けていた。 そこで初めてヒトラー(ダニエル・シュースター)を目の当たりにした田畑は、1940年の東京オリンピック開催が決定した際、IOC会長のラトゥールから「ヒトラーに御礼を言うように」と言われたのを思い出す。 そして、立ち去ろうとするヒトラーを呼び止めると、通訳のヤーコプ(サンディー海)を介して礼を伝えようとした。 だが、ヤーコプは直立不動でハイルヒトラーの敬礼をとったまま訳してくれない。 しかたがないので田畑は日本語でヒトラーに直接話しかけるも、「ヒトラーさん、オリンピックを東京にナニする件では、アレしてもらってダンケシェン」と何とも要領を得ないものになってしまった。 それでもヒトラーはその意を汲み取ってくれたのか、右手を差し出す。 田畑も戸惑いながらも手を出すと、ヒトラーは握手をして、そのまま部下たちとともに階段を登って行ってしまった。 ヒトラーに上段から握手を求められた田畑は、その後もしばし呆然として、右手を突きだしたままだった。 その姿は、あれほど彼が拒否してきたハイルヒトラーのポーズそのものというのが皮肉めいていた。 余談ながら、実際にヒトラーと握手したことのある磯村英一という人物によれば、ヒトラーの手は冷血動物のように冷たく、「一体この男は生きているのか」と一瞬疑いたくなるほどだったという。 東京市の文書課調査掛掛長だった磯村がヒトラーと面会したのは、オリンピック東京招致で支持を取りつけるためであった。 じつは東京開催決定後にラトゥールからヒトラーに感謝するよう促されたのも、田畑ではなく磯村である(橋本一夫『幻の東京オリンピック』NHKブックス)。 前畑、見事金メダル。 その裏で嘉納は…… さて、前畑はいよいよ決勝のレースにのぞむ。 ラジオの実況を担当するのは河西三省(トータス松本)。 河西は前日、風邪で体調を崩していたが、ロサンゼルスで彼とベルリンでも前畑のレースを実況することを約束していた田畑は、河西の降板を許さなかった。 このとき、河西に向かって、田畑や同じくアナウンサーの山本照(和田正一)は「がんばりましょう」「がんばれ」と励ましたのだが、田畑はハッと気づくと、「今回は『がんばれなし』で」と頼みこむ。 なお、河西は実際、前畑の決勝前には調子が悪く、山本たちから「河西さん、がんばれ」「がんばれ、がんばれ」と放送直前まで励まされていたのが伝染して、あの「前畑がんばれ」のフレーズが生まれたという(沢木耕太郎『オリンピア ナチスの森で』集英社e文庫)。 ウソみたいな本当のお話。 号砲が鳴り、プールに飛び込んだ各国の選手たちはしばらく横並びで泳いでいたが、やがて前畑とゲネンゲルの一騎打ちとなる。 両者譲らない大接戦に、河西の実況も熱を増した。 「前畑がんばれ」の連呼に、それをリアルタイムで聴いていた日本の人々も一緒になって「がんばれ、がんばれ」と応援する。 一方、河西の横では田畑が「がんばれって言わないで」と止めようとしたが、当の前畑は見事にプレッシャーをはねのけ、ついに1位でゴールする。 レースが終わると、前畑はゲネンゲルから「また一緒に泳ぎましょう」と健闘を讃えられた。 このときの前畑のタイムは3分3秒6で、ロサンゼルスの記録を10分の1どころか3秒も縮めた。 閉会式が終わったあと、田畑を通訳のヤーコプが呼び止める。 ヤーコプはゴール直後の前畑の写真を撮っていたものの、本人に渡せずにいたので、田畑が預かることになる。 そこで田畑は何気なく4年後の東京オリンピックでも通訳を頼むと、ヤーコプからは「難しいかもしれない」との言葉が返ってきた。 その真意をつかみかねた田畑は、一緒にいたIOC委員の副島道正(塚本晋也)に訊く。 副島はそれに答えることなく、それよりも気がかりは嘉納治五郎(役所広司)だと口にする。 かつての豪放磊落な嘉納は、東京オリンピックが決まって以来、どこかに消えてしまったようだというのだ。 副島の言うとおり、東京に戻った嘉納は、心ここにあらずという感じだった。 体協に赴くと、東京オリンピックの聖火ランナーを任せた金栗四三(中村勘九郎)が待っていたが、かつて嘉納が四三に与えた呼称である韋駄天という言葉がすぐに出てこなかったうえ、四三が弟子の小松勝(仲野太賀)を紹介しても、とくに反応しないまま立ち去ってしまった。 四三はそんな嘉納を、東京オリンピックを成功させねばらならないというプレッシャーゆえだろうと理解する。 しかし、このシーンは同時に、さしもの嘉納治五郎にも確実に老いが忍び寄っていることをもうかがわせ、せつなくなった。 暗雲立ちこめる東京オリンピック 前畑秀子の金メダルの余韻に浸る間もなく、第36話の後半では、4年後の東京オリンピックに暗雲が立ちこめる様子が描かれた。 オリンピック東京大会組織委員会には、東京市や大日本体育協会(体協)の関係者だけでなく、軍人や政治家など各界の大物が集められた。 だが、「人が集まりゃ、揉め事も増えるってえもんで」との美濃部孝蔵(森山未來)の語りどおり、なかなかうまくいかない。 本来なら中心となるべき東京市と体協も、東京市長の牛塚虎太郎(きたろう)が、オリンピックの招致活動に非協力的だった体協がしゃしゃり出るなら東京市は手を引くと怒りをあらわにし、不協和音が響く。 メインスタジアムも、神宮外苑競技場を拡張して充てるつもりが、嘉納が神宮ではベルリンオリンピック以上の式典ができるとは思えないと言い出したため、決定は先延ばしされた。 そんな組織委員会のなかにあって強い発言力を持ったのが陸軍だった。 委員会の席上、陸軍次官の梅津美治郎(千葉哲也)は、「単なるお祭り騒ぎでは困ります。 軽佻浮薄を戒め、質実剛健、すべて日本流にやっていただきたいものです」「国民の体育の全般的向上をめざし、団体訓練に役立つよう、やっていただきたい」と陸軍の総意を訴えた。 梅津は当時、二・二六事件の事後処理にあたるとともに、軍の団結をはかるため陸軍内部の粛正に尽力していた。 嘉納もまた、陸軍の主張に呼応するように、「オリンピックは国家的大事業です。 日本の文化や精神を世界中の人たちに理解してもらう。 いまの日本を広く世界に見てもらうんです」と、国を挙げてオリンピックの準備にあたる方針を明確に打ち出した。 組織委員会に各界から人々が集められたのも、すべてはそうした嘉納の意向によるものであった。 だが、副島はこれに強く反発する。 委員会が終わったあと、田畑を前に「近頃の嘉納先生の言動には賛同しかねる! 国家主導ではなく、あくまでもスポーツ精神にもとづいた大会をやるべきだ」と不満を漏らした。 副島はまた、先の嘉納の「日本の文化や精神を世界中の人たちに理解してもらう。 いまの日本を広く世界に見てもらう」との発言の「日本」を「ドイツ」に置き換えればそのままベルリンオリンピックになるとして、東京オリンピックがナチスのプロパガンダとなったベルリンの模倣になることを懸念した。 田畑はこのとき、副島からさらに衝撃の事実を知らされる。 何と、通訳のヤーコプがオリンピック閉幕の翌日に自殺したというのだ。 副島いわく、ユダヤ人だった彼は、オリンピックが終わって利用価値がなくなったら自分がどうなるかよくわかっていたのだろう。 田畑は、東京オリンピックの行く先、そして日本がどんな方向に向かおうとしているのか、不安を抱くようになる。 そこへ来て、勤務先の朝日新聞社に戻ると、元同僚で衆院議員の河野一郎(桐谷健太)が待ち構えていた。 軍部の顔色ばかりうかがい、半年経っても競技場すら決められない大会組織委員会にいらだちを募らせた河野は、次の国会でオリンピック反対論をぶち上げると告げ、田畑と訣別する。 田畑の不安はこのあと、1937年7月、日中戦争の勃発という形で現実のものとなる。 はたして東京オリンピックはどうなるのか? そして嘉納は「最後の大舞台」でどう立ち振る舞うのか……きょう放送の第37話で確認したい。 だが、人見の回が、ラストで彼女の早世を伝えつつも、彼女の遺志はその死後も引き継がれたことを示唆して明るく締めくくられたのに対し、今回はベルリンオリンピックの前畑秀子の活躍を描く一方で、国家に飲みこまれるオリンピックの姿をも浮き彫りにしてみせた。 日本選手団の通訳を務めたユダヤ人のヤーコプの自殺もショッキングだった。 これは前回のレビューで紹介したとおり、田畑の回顧録に書かれていた選手村の村長(放送後のドラマ公式のツイッターによれば実際には副村長だったようだが)が自殺したという実話にもとづいている。 田畑はまた、ベルリンオリンピックが終わったとたん、外国選手に対する扱いが急に変わったと回顧録に書いている。 それによれば、田畑は帰途ロンドンに立ち寄るため、エール・フランス機をチャーターしたものの、出発直前にナチスの軍人が無理やり乗り込んできて、結局、田畑たち一行は降りざるをえなかったという。 もっとも、この飛行機は途中で墜落して乗っていた全員が死亡し、田畑は命拾いするのだが(田畑政治『スポーツとともに半世紀』静岡県体育協会)。 ヤーコプの自殺にしてもそうだが、「いだてん」では、史実をべつの人物に置き換えて描いたエピソードも少なくない。 あるいは現実には大きな役割をはたしているのに、ドラマのなかでは過小な扱いとなっているケースも見られる。 今回、オリンピック東京大会組織委員会の場面で初めて登場した体協副会長の平沼亮三(劇中では大谷亮介が演じていた)は、この例にあたるだろう。 平沼は、ロサンゼルス、ベルリンオリンピックと日本選手団の団長を務めたほか、陸上やバレーボール、東京六大学野球などアマチュアスポーツの各連盟の会長を務め、「スポーツの父」とも呼ばれた人物である。 戦後も、国民体育大会を実現させ、1955年にはスポーツ界で初めて文化勲章の栄誉にも浴している。 ベルリンオリンピックでは平沼が所用で一足先に帰国したため、田畑が団長代理を務めるなど、両者の関係は浅からぬものがあっただけに、ドラマでも今回以降も出番があるのか気になるところである。 各話は総合テレビでの放送後、午後9時よりNHKオンデマンドで配信中(ただし現在、一部の回は配信停止中).

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広瀬館 ひてんの音

いだてん レビュー

畠中恵は、二〇〇一年、『しゃばけ』で日本ファンタジーノベル大賞優秀賞を受賞して小説家デビューした。 日本橋にある廻船問屋兼薬種問屋の大店・長崎屋の跡取りで若だんなと呼ばれる一太郎は、生まれつき病弱なため過保護な手代の佐助、仁吉に守られていた。 実は若だんな、齢三千年の大妖おぎんの孫で、佐助と仁吉は犬神、白沢なる妖、いつも寝ている離れにも、屏風のぞき、鳴家といった人ならざるモノたちが暮らしているのである。 連続殺人事件に巻き込まれた若だんなが、妖たちを手足のように使って病床で謎を解く長編だった『しゃばけ』はすぐにシリーズ化され、第二弾『ぬしさまへ』以降は捕物帳の伝統といえる連作短編が中心になり現在に至っている。 累計発行部数八四〇万部、ドラマ、漫画、舞台などでメディアミックス化され、二〇一六年には吉川英治文庫賞の記念すべき第一回目を受賞した〈しゃばけ〉シリーズは、まさに国民的な作品といっても過言ではあるまい。 〈しゃばけ〉シリーズには、妖が実在することを前提にした特殊設定の謎解き、妖や神々が巻き起こす騒動を描くファンタジー、疲れた心を癒してくれる愛らしい妖たち、若だんなと佐助、仁吉との間にある兄弟愛的な感情、長崎屋の家族愛、若だんなと菓子屋の息子ながら餡作りが下手な栄吉との友情など、どのジャンルが好きでも楽しめる奥深さがある。 その中でも最大の魅力は、トラブルを解決することで、若だんなが成長するプロセスだと考えている。 粗暴だった男が、剣の修行で精神を高めようとする吉川英治『宮本武蔵』を持ち出すまでもなく、人間の成長を描く教養小説的な時代小説は珍しくない。 ただその多くは、貧しく愚かな若者が、修行を積み、差別や偏見と戦いながら偉大な人物になるという展開になっている。 ところが若だんなは、何不自由ない大金持ちの息子で、病弱ゆえに周囲から甘やかされているので、一般的な教養小説なら主人公をいじめる悪役にされかねない設定になっているのである。 だが経済成長率が下がり、格差は広がっているが、まだ飢えるほどではない現代の日本で、貧しい若者が努力と忍耐でのし上がる物語にリアリティがあるだろうか。 恵まれた境遇にいるが病弱ゆえに大店を継ぐことに不安を覚え、自分には何ができるか、どんな大人になるべきかを常に手探りしている若だんなは、生活に不安がなく自由に将来が選べるからこそ、逆に明確な目標を持てず迷っている現代の若い世代が共感しやすいキャラクターといえるだろう。 人間の能力を超越した妖たちは、才能や努力ではどうしようもない時代の流れ、あるいは運不運の象徴にもなっている。 試験で実力以上の力を発揮することもあれば、苦労して入った会社が倒産することもあるので、人の人生から運の要素は排除できない。 それだけに、若だんなが妖たちの持ち込むトラブルに翻弄されながらも懸命に人生を切り開く物語は、ファンタジーの要素を大胆に導入したからこそ、誰もが身近に感じられるようになっているのである。 〈しゃばけ〉シリーズには、収録作の短編がゆるやかに繋がる作品も多い。 仁吉と天狗の姫の結婚を回避するため薬祖神二柱が落とした神薬を探す「てんぐさらい」、狐に呪いをかけられたという僧を救う方法を考える「たたりづき」、栄吉と札差白柳屋の縁談話が、白柳屋と不仲な同業者・黒松屋との争いへと発展する「恋の闇」、猫又から千里眼の力をもらった男が助けを求めてくる表題作、若だんなの婚約者於りんが大量の毛虫にたかられる「くりかえし」の五作を収録した第十八弾『てんげんつう』も、若だんなが大切な人を守れるのかが共通のテーマになっている。 ネットにあふれる誹謗中傷を彷彿させる呪いが出てくる「たたりづき」、優れた資質は人を幸福にするのかを問う「てんげんつう」、現代の企業でも進むある見直しが事件を引き起こす「くりかえし」など、作中には現代の社会問題が織り込まれていた。 本書は、守られる立場だった若だんなが、誰も不幸にならない解決の道筋を見つけることで大切な人々を守ろうとする意味でも、普遍的な闇と向き合い、そこに捕らわれない方法、抜け出す手順を読者に示す意味でも、著しい成長が感じられるはずだ。 ファンなら思わず涙するほどの感動をより深く味わうためにも、初めてシリーズに接する方は最初から読むことをお勧めしたい。

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